
このような疑問を解決します。
▼本記事の内容
- 小規模企業共済の財務状況をわかりやすく解説
- 個人事業主の最適な活用方法を紹介
▼本記事の信頼性

Twitter(@iwasadaiki)
本ブログ記事では、ファイナンシャルプランナーで自身も小規模企業共済を活用している僕が、小規模企業共済の財務状況と個人事業主の最適な活用方法を紹介します。
結論からお伝えすると、小規模企業共済はかつては怪しい時期がありましたが、現在は問題ないです。
本記事を最後までお読みいただくことで、あなたも安心して小規模企業共済による節税と老後資金の効率的な形成ができるはず。
「小規模企業共済は潰れる。危ない!」は嘘。財務状況を解説する。

そもそも論として、小規模企業共済を運営しているのは中小機構ですが、中小機構の業務にかかる主な収入源である運営費交付金や政府出資金は国から出ています。
またメインの収入源も貸付業務なので銀行みたいなもんです。そのため、民間企業に比べるといきなりの破綻リスクはかなり低いです。
運営母体の中小機構の決算広告には、財務諸表等の掲載があり、小規模企業共済の勘定も掲載されています。

平成16年度の分から掲載されているので、丁寧に見ていけば経営状況も把握できて良いのですが、正直面倒ですよね。

(なんならコロナの影響で、国からの支給分が増えているのに、支援事業(支出)が減って業務経費が削減された分、若干潤ってました。)
ちなみにですが、中小機構は「倒産防止共済(経営セーフティ共済)」という共済も運営していますが、倒産を防止するための仕組みを運営している中小機構が倒産してしまってはシャレになりませんw
今回は本当に危ないのかどうか、ちゃんと共済金が支払われるかどうかをわかりやすく判断できる指標の一つである「繰越欠損金」を紹介します。
一番の問題は「繰越欠損金」→解決済み

繰越欠損金とは?
将来の共済金の支払い(責任準備金)に対して、現時点での運用資産額がどれくらい貯まっているかの差額
一般の家庭でいえば「子供の教育費が2000万円準備する必要あるけど、今どんだけ資産あるの?将来的にはちゃんと貯まるの?」みたいなお話です。
小規模企業共済としては、将来支払う共済金が8兆5000億円必要なのに、運用資産額が7兆5000億円しかないってのが平成16年でした。(正直、この時点ではちょっとヤバかったですw)
そこで中小機構的には「これはさすがにまずいな‥」という危機意識があったようで、削減計画を立てて着々と改善しています。
その努力が功を奏して、平成26年にはプラスに転じて、その後令和2年を見ていただければ分かる通り、現在は問題なく積み上げができている様子。

この様子なら小規模企業共済は、運用の内容も比較的堅実な運用をしているし、まあとりあえず大丈夫かなと判断しました。
iDeCoとは異なり、廃業や貸付をしてすぐに資金を手元に引き出すこともできます。財務状況をしっかりフォローしておけば、破綻しそう!超やばい!となる前に逃げ切ることは可能かなと。
小規模企業共済の最強の使い方を伝授する
ここまでは小規模企業共済の財政状況が今のところ問題ないことを紹介してきました。
ここからは有料級ですが、具体的な活用方法を検討していきます。順を追って説明しますので、個人事業主の方はぜひ参考にしてみてください。
最少額でも毎月積み立てておき退職所得控除を最大化する

小規模企業共済の受取は、条件によって一時所得と退職所得のいずれかになります。
基本的には退職所得のほうが有利なので、退職所得で受け取れるように調整します。
退職所得控除は、積立期間によって控除額が下記のように変わります。つまり、できるだけ早くから積み立てておいたほうが退職所得として受け取るときに非課税分が多くなります。
| 勤続年数(積立期間)が20年以下 | 40万円×勤続年数(積立年数) ただし上記の金額が80万円に満たない場合は80万円。 |
| 勤続年数(積立期間)が20年超 | 800万円+70万円×[勤続年数(積立年数)-20年] |


積立時:掛け金の金額を所得に応じて変える

小規模企業共済で使える節税は所得控除で次年度以降に繰越はできないため、下記のような使い方が基本的なスタンスになります。
- 所得の大きい年→掛け金の納付額を最大金額にする。翌年度分も前納する。
- 所得の小さい時→掛け金の納付額を最少金額にする
掛け金を月額納付にしていても、申請書を提出することで当月+11ヶ月分まで前納できます。
運用方法:資金需要に応じて金利1.5%で貸付を利用する

小規模企業共済では、引き出しはできないですが、貸付は利用可能です。金利は基本1.5%です。
小規模企業共済では貸付額ごとに下記のように返済期間が決まっています。
貸付額ごとの返済期間
- 100万円以下: 6か月、12か月
- 105万円~300万円 : 6か月、12か月、24か月
- 305万円~500万円 : 6か月、12か月、24か月、36か月
- 505万円以上 : 6か月、12か月、24か月、36か月、60か月
また、返済の方法は、一括で返済するか、分割でローンのように返済するかという2パターンあります。こちらも返済の回数に応じて返済方法が異なります。
▼借入金の返済方法
- 借入期間が6か月または12か月の場合 : 期限一括償還
- 借入期間が24か月、36か月、60か月の場合 : 6か月ごとの元金均等割賦償還
どうせ借り入れするならダラダラと支払えるようにしつつ、返せるときに一気に返すのがメリットなので、僕だったら105万円以上を24ヶ月以上で借りますかね。
元金均等方式なら、資金が不要ならさっさと返済すれば借入れ元金が減り、金利も圧縮されるので悪くないです。
貸付では金利支払いがありますが、事業をされている方なら1.5%で借りられるなら安いなという印象でしょうか。(自己資金なので、なんとも言えないですがw)
節税しながら貯蓄をしつつ、事業で必要なお金が不足している場合は、ここから借り入れするのが基本的な使い方です。
金利については、金融投資で1.5%以上利回りというのは、そこまで難しくはありません。米国のゼロクーポン債にでも突っ込んでおけば、かなり手堅く2%程度で運用できます。
事業であれば、例えば物販なら100万円を元手に1年間で200万円にするのは難しくはないはずです。そうすると利回り的には100%程度なので金利を差し引いても借りる価値がありますね。
受取時:共済金を退職所得で受け取る

これまで貯まっている共済金については、請求の事由に応じて受け取るお金の種類や条件が変わります。
| 共済金等の種類 | 請求事由 |
|---|---|
| 共済金A |
|
| 共済金B |
|
| 準共済金 |
|
| 解約手当金 |
|
| 受取方法 | 税法上の扱い |
|---|---|
| 共済金または準共済金を一括で受け取る場合 | 退職所得扱い |
| 共済金を分割で受け取る場合 | 公的年金等の雑所得扱い |
| 共済金を一括・分割併用で受け取る場合 | (一括分)退職所得扱い (分割分)公的年金等の雑所得扱い |
| 遺族が共済金を受け取る場合(死亡退職金) | (相続税法上)みなし相続財産 |
| 65歳以上の方が任意解約をするまたは65歳以上の共同経営者が任意退任をする場合 | 退職所得扱い |
| 65歳未満の方が任意解約をするまたは65歳未満の共同経営者が任意退任をする場合 | 一時所得扱い |
| 12か月以上の掛金の未払いによる解約(機構解約)で解約手当金を受け取る場合 | 一時所得扱い |
解約手当金は一時所得となり、税金面ではちょっと不利なので、できる限り退職所得になるように共済金として受け取れるようにうまいこと調整しましょう。
事業を廃業して共済金Aとして受け取ったり、65歳以上で共済金Bとして受け取ったり、はたまた法人成りした結果加入資格がなくなって準共済金として受け取るのが良いですね。
他の節税や貯蓄手段と比較

小規模企業共済は節税手段としてはよく紹介されますね。ここではiDeCoと経営セーフティー共済を比較してみます。
iDeCoよりは優先

小規模企業共済とiDeCoと比べた場合は、どちらを先に始めるべきでしょうか。個人事業主なら小規模企業共済ですね。
| 小規模企業共済 | iDeCo | ||
| 中途解約 | 可能 | 不可 | |
| 節税面 | 納付時 | 全額所得控除 | 全額所得控除 |
| 運用中 | - | 運用中非課税 | |
| 受取り | 退職所得or一時所得 | 退職所得 | |
| 運用パフォーマンス | 1%(2022年現在) | 運用先次第 | |
| 貸付 | 可能(金利1.5%) | 不可 | |
小規模企業共済もiDeCoも資金を引き出しづらいという難点はあります。
小規模企業共済の場合、全額を引き出すのは難しいですが、貸付として利用することが可能なため、個人事業主には使い勝手が良いです。

また、事業の場合、100万円を元手に1年で200万円程度、1000万円を元手に数年間で2000万円にするのはそんなに難しい話ではないので、iDeCoより小規模企業共済の方が資金効率は高いと言えます。
資産形成においては、資産額5000万円くらいまでは、金融資産による掛け算よりも、労働収入による足し算のほうが早いです。
5000万円を超えると9%程度の米株インデックス運用なら税引前の利益が450万円ほどになるため、この辺から金融投資の効果がグッと高まります。
なので、最初は小規模企業共済をメインで積み立てつつ、貸付を利用しながら事業でコツコツ増やしていくのがベスト。
ある程度余裕資金が増えてきて労働収入よりも金融資産で運用するメリットのほうが大きくなったら、小規模企業共済を最少額にして、その分iDeCoの比重を大きくしていくというのが定石です。
iDeCoの活用方法についてはこちらの記事で徹底解説しましたので、興味がある方は無料部分だけでもチェックしてみてください。
経営セーフティー共済が先

倒産防止共済(経営セーフティー共済)に加入できる場合は、経営セーフティー共済のほうが先に始めるべきですね。
| 小規模企業共済 | 経営セーフティー共済 | ||
| 中途解約 | 可能 (個人事業の廃業等) |
可能 (任意解約でも40ヶ月目から返戻率100%) |
|
| 節税面 | 納付時 | 全額所得控除 | 全額経費計上 |
| 運用中 | - | - | |
| 受取り | 退職所得or一時所得 | 事業所得 | |
| 運用パフォーマンス | 1%(2022年現在) | 0% | |
| 貸付 | 可能(金利1.5%) | 可能(金利0.9%) | |
所得控除がメインのメリットの小規模企業共済よりも、掛け金を経費に計上できる経営セーフティー共済の方が有利なため、加入できる方は経営セーフティーのほうが優先しておきたいところ。
経費に計上できるということは、所得税や住民税の節税以外のメリットもあるからです。
- 社会保険料(健康保険料)が圧縮できる
- 積立しすぎても赤字は3年間繰越できる
- 事業税も圧縮できる
経営セーフティー共済は、小規模企業共済と同様に貸付も可能ですし、前納を利用することで最大で480万円分を1年間で積み立てる(経費計上する)ことも可能です。
こちらもCHECK
-
-
【節税術】経営セーフティ共済の基本と前納裏ワザ|個人事業主もOK
続きを見る
まとめ:個人事業主も老後資金は必要。賢く活用せよ。

個人事業主に退職という概念はないので生涯働き続けることは可能です。
ただし、75歳や80歳、そして生涯現役だとしても、若い頃よりは労働の収入が落ちる可能性は高いです。仮に一生働くとしても、多少の老後資金の準備はしておくべきでしょう。

退職所得として受け取れば控除が大きい分それなりの節税にはなりますが、一時所得の場合は控除が小さく課税の繰延になってしまうため下手すると増税にもなりかねないので注意してください。